抄録
科学教育が注目される背景には、様々な要因がある。直接的には、国際的な産業競争を勝ち抜ける人材が枯渇するのではないかという懸念があるが、問題はそれだけではない。学齢期の子供の理科離れだけでなく、大人の科学的な素養が先進諸国の中で劣っているという調査結果もある。個人にとってはより実り多い生き方をするための、社会にとってはできるだけ合理的な意思決定を行うための基盤をなす国民の科学・技術リテラシーの低下が各方面で懸念されている。科学教育の重要性は、狭義の教育現場だけの問題ではないといえる。こうした中、社会の各セクターで様々な動きが出ており、科学教育は新たな局面を迎えている。