抄録
本稿の目的は、教育年数の異なるグループ間における健康状態の違いを考察することである。健康状態の社会経済的グループ間格差についてはすでに欧米を中心に多くの研究が行われおり、日本においても長い研究の歴史がある。最近の研究では高齢者を対象とした調査をもとに、高齢者の健康状態と所得や教育年数、社会階層などの社会経済的要因とが関係をもつ明らかになっている。ではそのような関係は高齢者にのみあてはまることなのだろうか。本稿では20歳以上の男女のデータを用いて、健康の自己評価と教育年数との関係を考察する。その結果20歳から60歳までの層においても、教育年数が少ない層ほど、健康の自己評価を低く答える人の割合が高いという結果が得られた。