抄録
本稿では,現在のニュージーランドの初等・中等教育の必修科目数学の中で実施されている統計教育の内容,および2009年に向けて計画されている新カリキュラムの概要について報告する.ニュージーランドでは,データ中心の体験を通して学ぶカリキュラムを初等教育の初期から,中等教育終了時まで継続して行っている.不確実な現象や概念を理解することは難しいが,生きるために重要な学習であること,論理的思考を育成し,科学的に物事を捉える力を養うためには,言語教育同様,早い段階での学習が重要であることが強く認識されたカリキュラムである.また,レベルという概念を導入し,5歳の初等教育開始時より,生徒の習熟度に合わせて統計と確率を連動した教育でPISA,ケンブリッジ国際試験等で実績をあげている.