抄録
本研究の目的は,国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の理科論述形式問題の結果を精査することにより,わが国の児童・生徒の科学的論述力の特徴を明らかにすることである。1999年と2003年のTIMSS調査において中学校2年生を対象として共通に出題された論述形式の公開問題を含む問題冊子を取り上げ,時系列的に並んだ各問題の正答率や無答率を分析した。その結果,我が国の中学生の記述式問題の無答率は両調査に参加した成績上位国の平均値とほぼ同様であり,その傾向は1999年と2003年とで変化していないことが明らかとなった。