抄録
カナダの教育制度は州によって異なり,言語的・文化的背景が複雑な状況であるにもかかわらず,2006年のPISA調査では,国全体としての科学的リテラシーの水準が大変高い水準であった。これは,1997年に策定されたカナダ全体の科学の学習成果に関する共通フレームワークが,科学的リテラシーの育成を重視するものであったため,その後の初等中等教育を通じた科学教育が科学的リテラシーの育成を目指してきたことの成果である。同時に,生徒間での教育成果の格差の縮小に成功していることも大きな要因である。発表では,オンタリオ州への訪問調査から,現地の様子についても報告する。