抄録
本研究では中学1年生の「資料の活用」領域の授業において,生徒が目的を持ってデータを収集することからはじめ,分析し,結果の解釈,判断をするまでの一連の統計的探究プロセスを意識した授業を行った。「2人のバスケットボール選手から1人を選ぶ」という課題で,生徒は目的意識を持って取り組むことができた。資料を比較することが求められた時には,多くの生徒が最初に,「総得点」や「平均」に着目し,「散らばり」についての比較はできなかった。ヒストグラムを作成することで,「散らばり」に着目して判断を行うようになった。更に「散らばり」を数学的に表現するために,中央値と範囲の拡張として四分位数,四分位範囲や箱ひげ図を容易に導入することができた。