抄録
本研究は,理科教育の危機として,多くの生徒が,第一に,理科に興味・関心がもてない,第二に,教科書から何を学んでいるのか,その意味と意義がわからないという問題があることを指摘し,それを踏まえて,従来の理科教育を根本的に問い直すことを試みた。すなわち,理科とはそもそも何かということと,何のために学ぶのかということについて,文献的調査とフィールドワークの方法を用いて,歴史的展望と科学認識をめぐる論争を再検討し,それをもとに,この理科教育の危機は,理科教育に,本研究で定義された「科学実践」を導入することで回避され得ることを論じた。