抄録
二酸化炭素が発生する化学反応や物質・材料に着目し,二酸化炭素の定量結果に基づいて化学反応の量的関係や炭酸塩含有材料の組成を探究させる化学実験教材を開発した。二酸化炭素が発生する化学反応としてアルコール発酵を取り上げた場合,中和滴定と酸化還元滴定を組み合わせて二酸化炭素とエタノールを定量した結果を踏まえ,アルコール発酵における量的関係を導出することができる。また,炭酸塩含有材料として発泡入浴剤を取り上げると,発生した二酸化炭素の定量実験から発泡入浴剤に含まれる炭酸塩の含有率が求められる。発泡入浴剤の成分表示に基づいて思考した発泡の仕組みを,モデル材料の定量実験を踏まえて確証づける検証実験を立案することも可能である。これらの化学実験は,二酸化炭素が関与する化学現象・事物に対する具体的な探究活動例として,活用が期待される。