主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第40回年会 大分大会
開催日: 2016/08/19 - 2016/08/21
動物園は、科学・環境リテラシーの育成、生物多様性保全意識の普及、環境問題を共有する市民育成の観点から、環境教育の場として期待されている。博物館展示の3 原則を反映して、来園者の環境問題意識を喚起する展示をどのように開発していけばよいであろうか。本研究では、筆者が学生らと開発したコミュニケーション型展示の事例から、聴衆者に認知的学習の側面と情緒的刺激の側面がどのように反映されたのかを調べた。その結果、認知的学習の側面では、8 割近くの聴衆者にとって初めて知ることであり、教育的印象を与えていた。ただし、伝わる知識や情報の詳細は断片的であったり、それぞれ異なっていた。情緒的刺激の側面では、本研究で意図した環境問題のテーマは好意的評価ながらも悲しい物語として印象づいていた。また、聴衆者の目の前にいる動物の生い立ちをストーリーにしたことが、共感性を生み出す効果につながったと考えられた。本展示は生物多様性保全という環境問題への意識向上を意図して、認知的学習の側面と情緒的刺激の側面の両方に作用する展示のやり方を提示できた。