本稿では,現行の学校教育で実施されている技術・家庭科の現状と課題について検討した。その結果,技術・家庭科における歴史的変遷より,本教科は約60 年の歴史を経て,男女共修となる技術教育を実現したが,一方では時代の変化による社会の要請によって,生活に根差した技術教育が求められるとともに,一つの教科としての「技術」と「家庭」の指導内容に,異なる生活に対する捉え方が発生していることが推察された。このような歴史的な経緯を踏まえ,生活者の視点に立った技術リテラシーを育成するためには,「技術」と「家庭」の両方に含まれる技術的な内容がリテラシー育成に活かされていない側面に課題が挙げられた。