主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第44回年会
回次: 44
開催地: 兵庫教育大学
開催日: 2020/08/25 - 2020/08/27
月の満ち欠けの学習の終わりに,与謝蕪村の句「菜の花や月は東に日は西に」を取り上げる例がある.ところが,弟子の記録では実際に満月を目にして詠んだものではないという.この事実から,蕪村の心象にせまる実践を開発,試行した.そこでは理科で得られた見方・考え方を用い,西行の句を経由して,蕪村が涅槃図を思い描いていたのではないかという新しい解釈に至る.月の満ち欠けといった三天体の地学教育的な扱いは,正岡子規が主張した写生主義的な解釈に留まる.萩原朔太郎も蕪村の内面性にせまる重要性を指摘したが,この句から涅槃図までは思いが至らなかった.教職を目指す学生に本実践を試行したところ,蕪村の心象に留まらず,入滅時の釈迦の心象にまで思いを巡らせた指摘もあり,そこに至るプロセスで多くのことを学んだという感想が得られた.飽くなき教材研究の一環であるが,Artを取り入れた我が国独自のSTEAM教育の一提案としたい.