国立天文台では学校教育利用を主目的に小型天体望遠鏡キットを開発・頒布している.問題解決型の探究活動を重視する今日の初等中等教育において,多くの学校において採用可能な天体望遠鏡活用方法を新たに提案する.小学6年生107名が事前学習の後,各自,国立天文台望遠鏡キットを8日間,自宅に持ち帰り,月の観測を行ったところ,約9割の児童がクレーターの存在を確認した.一方,中学3年生40名が2ヶ月間,本キットを自由に使ってみたところ,期待した教育効果は得られなかった.学年に関係なく,望遠鏡を使うための事前指導と望遠鏡を使う目的・目標の理解が重要である.これらの実践から,学校教育に望遠鏡観察を導入する際の課題について考察する.