本研究は、「生徒にあらかじめ単元全体を見通して毎時間の課題を設定しておく学習 (「課題設定学習」)」の教育的効果を、理科において検討したものである。単元「電流と磁界」の学習を例にして授業の前後での生徒の知識の変化と、毎時間ごとの生徒の意欲度の変化を調査したところ次のような結果を得た。①「電流と磁界」の単元においては、課題設定学習を行うことによる生徒の知識獲得効果は、見られなかった。②「電流と磁界」の単元においては、課題設定学習は、課題を決めた直後の学習には意欲を高めるのに効果はあるが、時間の経過とともに、学習意欲は普段の授業と同じ程度もどる。③ 課題設定学習を行ったクラスで、授業のはじめに、課題を設定した理由と、自分達がはじめの疑問に対してどれくらい追求できたかを知らせることは、学習意欲を高めるのに効果がある。④ 学習内容そのものが生徒にとって、興味深いものであれば、学習意欲は高くなり、課題設定学習を行っても、行わなくとも意欲の度合いには差がない。