本研究は, 中学校数学教育において文字・文字式の「よさ」を新しい視点でとらえ, その「よさ」を感得させるカリキュラム開発を行うとともに, 実際の授業でその有効性を実証し, 併せて生徒の「よさ」感得の特性の解明を行った。その結果, 第1点は中1の「文字と式(数量の表し方)」において, よさ感得授業(S群)と伝統的授業(T群)を実施した結果, 両群の文字・文字式の「よさ」の感じ方に有意差が見られたこと, 第2点は課題により異なるが, 授業から3か月後においても, S群に「よさ」感得の定着が見られたこと, 第3点は能力差, 文字, 文字・数式処理の中で, 特に最後の要因が「よさ」感得を決定する特性であること, 第4点は多元的アプローチをとる「よさ」感得カリキュラム構成の重要性, 以上の4点が明らかになった。
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