外科と代謝・栄養
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アミノ酸学会ジョイントシンポジウム
AS-1 集中治療患者における急性期のたんぱく質投与
矢田部 智昭
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2019 年 53 巻 3 号 p. 63

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抄録
 日本版重症患者の栄養療法ガイドラインでは、エビデンスが十分ではないため、至適たんぱく投与量は不明であるとしているが、欧州のガイドラインでは観察研究の結果などから、1.3g/kg/dayの投与を推奨している。また、集中治療室入室2-3日はたんぱく質投与量を控えめにして、それ以降で増量すると予後がいい可能性が後方視研究で示され、投与量のみでなく、投与タイミングが予後に影響を与える可能性がある。本邦の集中治療患者におけるたんぱく質投与の現状を明らかにするために2015-2016年に実施した多施設観察研究では、たんぱく質の投与量は入室7日目で0.4g/kg/dayであった。集中治療室退室時の運動機能が良好群と不良群で比較すると、入室3日目のたんぱく質投与量が不良群で有意に多かった(0.1g/kg/day vs 0.2g/kg/day)が7日目と退室日には有意差はなかった。別の本邦の集中治療室で治療を受けた心不全患者における観察研究において、退院後180日間の再入院の有無で比較すると、再入院群において、入室3日目、7日目のたんぱく質投与量が有意に多かった(0.7g/kg/day vs 0.9g/kg/day, 0.8g/kg/day vs 0.9g/kg/day)が、14日目には有意差はなかった。いずれも統計学的に有意差はあるが、その差はわずかであり、急性期の集中治療患者において、たんぱく質投与量、タイミングが予後に影響を与えるかについては今後の研究が必要ではある。
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© 2019 日本外科代謝栄養学会
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