土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
ナタネ油を混合した洗浄鳥取砂丘砂の 熱伝導率とそのモデル化
望月 秀俊小岩崎 真須甲 武志
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2007 年 105 巻 p. 59-65

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抄録

油類による土壌汚染は深刻な環境問題であり,土壌中での油類の動態を把握する必要がある。これには油汚染土壌の熱特性に関する研究が必要である。本報では,油汚染土壌の熱伝導率に着目し,その液相率•温度•油混合率依存性を明らかにすることを目的とした。洗浄鳥取砂丘砂とナタネ油を用いて油汚染土壌を模擬し,KD2を用いて,様々な液相率•温度•油混合率条件のもと,熱伝導率を測定した。その結果,水と油の両方を混合した土壌でも,熱伝導率が液相率の上昇にともなって直線的に上昇すること,液相率や油混合率によって様々な温度依存性を示すこと,有機化合物を主成分とする油類による汚染土壌の熱伝導率が,未汚染土壌と正反対の傾向を示す可能性があること,液相率と温度を固定すると,熱伝導率は油混合率に比例して低下すること,が明らかとなった。また,油混合率依存性の結果から,油汚染土壌の熱伝導率の予測式を提案した。

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© 2007 土壌物理学会
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