土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
センシング技術を活用した黒ボク土畑の圃場特性の評価
丹羽 勝久
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2021 年 147 巻 p. 11-16

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抄録

黒ボク土の表層の土壌腐植含量は圃場内の窒素肥沃度のばらつきを相対的に反映する.また,光学セン サにより撮影した表層土壌の画像から精度良く推定することが可能である.これらの点に着目し,北海 道の大規模畑作地帯では,ドローン画像より作成した窒素肥沃度(熱水抽出性窒素)マップが,窒素可 変施肥に実利用されつつある.しかし,窒素可変施肥の効果を発揮するには,導入圃場の窒素肥沃度と 作物生育に高い正の相関関係を持つことが必要であり,全ての圃場で窒素可変施肥が有効な訳ではな い.実際,スケールメリットのある衛星画像を用いて,123 圃場で表層の土壌腐植含量マップと多雨年 の作物生育マップを作成し,両者の関係を検討した結果,必ずしも両者は全ての圃場で正の相関関係を 持つ訳ではなく,一部の圃場においてはむしろ負の相関関係が確認された.黒ボク土では表層の土壌腐 植含量は土壌の乾湿も相対的に反映することから,負の相関関係を持つ圃場では,作物生育が窒素肥沃 度よりも排水不良に影響を受けていると考えられた.

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© 2021 土壌物理学会
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