2024 年 157 巻 p. 33-42
本研究では,栽培条件下における人工マクロポア内の土壌CO2ガス濃度の変動を評価するため,非分散型赤外線式CO2センサーなどを用いた土壌ガス計測システムを構築した.また,水蒸気濃度に対するセンサーの応答,システムの気密性,標準ガスを用いたマクロポア内のCO2ガス濃度の計測値を検討することで,本システムの有効性を評価した.本システムは,400 ~ 7000 ppmのCO2濃度範囲と0 ~ 25 mmol mol-1の水蒸気濃度範囲において,人工マクロポア内の土壌ガス濃度のモニタリングに有効であることが示された.さらに,幼苗の下に人工マクロポアを作成した黒ボク土槽を用いて,点滴灌漑下における土壌ガス濃度計測を実施した.水収支法により求めた,点滴灌漑時の局所的な下方水分浸透および人工マクロポア底面の水分量の増加は,CO2ガス発生に影響することを示唆した.