2025 年 65 巻 4 号 p. 55-70
これまで児童養護施設等の退所者支援は,施設や措置権のある自治体が中心とされてきた.他方で,退所者が生活する地域での支援体制の重要性が指摘されつつある.そのことをふまえ,本研究は,措置権はないが児童養護施設が所在している自治体における退所者支援の実態と取り組みに影響を与える要因を明らかにすることを目的とした.そのため,児童養護施設が所在し,かつ,措置権のない全国の市区町村へアンケート調査を実施した.因子分析の結果,自治体の認識や退所者支援の取り組みの背景として,「計画・事業・予算への位置づけ」「組織の柔軟性があり支援内容が明確」「必要性や優先度が高い」「当事者支援の実施」の4因子が抽出された.なかでも「計画・事業・予算への位置づけ」は,退所者支援の取り組み度合いに影響を与えていることが示唆された.また,自治体による認識の差異も明らかになった.