近年、我が国の地方部を中心に深刻化しつつある買い物弱者問題は、地域レベルでの対応が求められる非常に重要な課題である。それゆえ、これまでに地域レベルでの買い物弱者人口推計手法の確立のための基礎的研究が進められてきた。しかしながら、地域に合った買い物支援策を検討する上では、買い物弱者数に加えて、買い物弱者の種々の買い物支援策に対する需要量とそれによって得られる利益の推計が必要であると考えられる。そこで、本研究では、個人属性と地域特性を考慮した買い物弱者の買い物支援策(買い物行動様式)の利用頻度及び支払意思額に関する要因分析を行うことで、種々の買い物支援策の需要量とそれに伴う利益に関する推計手法確立のための基礎的知見を得ることを主たる目的とした。