2018 年 4 巻 1 号 p. A_129-A_137
東日本大震災以降、徒歩避難が困難な地域や人に対して、やむを得ない場合の自動車避難が容認された。自動車避難は、交通渋滞を発生させて津波遭遇リスクを大きくするほか、歩行者との錯綜が交通事故リスクを生むという問題がある。本研究では、セルベース津波遭遇リスク最小化モデルに歩車混合を明示的に組み込んだ最適化モデルを提案し、実スケールの市町村ネットワークに適用して、自動車利用率と津波遭遇リスクおよび交通事故リスクの関係を分析する。本計算例では、津波遭遇リスクを最小化する自動車利用率は 2 割程度で、最短経路以外の経路も使用するが、その結果交通事故リスクが増加する可能性がある。本モデルから得られる交通事故リスクの高い場所と時刻の情報を用いて、交通安全対策を検討する必要性があることを示す。