2020 年 6 巻 2 号 p. A_175-A_182
本研究では、夜間走行時において外発性注意の慣性転換が状況認知の遅れを軽減するとの仮説を措定し、同仮説を室内実験により検証する。夜間における運転は、沿道の高輝度の店舗に外発性注意が定位されることで、すでに定位した位置への再定位が抑制される復帰抑制が発現し、状況認知に遅れを生じさせている可能性がある。復帰抑制を軽減するためには、外発性注意の慣性転換により復帰抑制が生じる位置へ外発性注意を順に誘導することが有効である。そこで本研究では慣性転換が夜間走行中の状況認知に与える影響について、ガボールパッチ検出課題に基づき検証した。その結果、ドライバーに復帰抑制が生じること、慣性転換を誘発することにより状況認知の遅れが軽減する可能性が示唆された。