2020 年 6 巻 2 号 p. A_183-A_189
高齢化や人口減少に直面するわが国では,自家用車の保有に代わるモビリティの選択肢を拡げることが求められる。こうしたなか,MaaS(Mobility-as-a-Service)構築への期待が高まり,公共交通への定額制サービスの導入が注目されているが,乗用タクシーの運賃は,時間距離併用制を採用しており,同一区間であっても運賃の不確実性があるため,定額制サービスの導入には,他の公共交通とは異なる課題を有している。そこで,本研究では,曜日や時間帯,乗降可能な地点を限定する乗用タクシーの定額制サービスを導入した福島県南相馬市「みなタク」の配車データを用い,乗用タクシーの利用頻度モデルを構築したうえで,タクシーの利用頻度や収入が増加する可能性をシミュレートし,利用頻度の増進とタクシー事業者の増収を両立させ得る領域を示すことで,定額制サービスの適用可能性を検討した。