道路事業を進めるにあたっては、費用便益分析により事業実施の妥当性を評価している。その際、道路種別に応じた交通量-旅行速度(Q-V)式を用いて交通量配分を行っているが、平面交差部の立体化等の道路事業では交通量に変化がなければ推定される旅行速度に感度がなく、事業の効果を適切に反映できていない。本論文では、交通流シミュレータを用いて信号交差点密度が Q-V 式の自由速度に与える影響を分析し、平面交差部の立体化に感度を有する Q-V 関係による便益算出への影響を評価した。その結果、Q-V 式の自由速度は、信号交差点密度、青時間比、希望速度に応じて変化することを確認した。そして、1OD 2 経路の簡易ネットワークを用いて、信号交差密度を考慮した自由速度を用いる Q-V 関係で道路事業の三便益を算出し、従来手法との便益差により新しい Q-V 関係の効果を明らかにした。