2020 年 6 巻 2 号 p. A_31-A_40
本研究では,潜在的な事故リスクの評価を目標として,運転者の不安と不安全な走行傾向との関連性の分析を行った.ドライビング・シミュレータによる室内走行実験から,車両挙動に関するデータを収集した.さらに,毎走行後のヒアリングから,不安度に関するデータを収集した.不安度の変動は個人差が大きいため,不安度を基に行ったクラスター分析(Ward 法)から,被験者を 3 グループに分類した.分類結果を参考に,異なる道路の条件間において不安度が大きく変化していた被験者に着目した.その結果,ジャークの分散や,車両中心位置の車線中心からのずれの標準偏差から,不安と不安全な走行傾向との関連性を確認した.さらに,最大加速度から,部分的ではあるものの,不安全な走行傾向が不安全な行動の要因となる傾向を確認した.