2017 年に高速道路における規制速度の 110km/h への引き上げが試行されたことに伴い、車両挙動に変化がみられたかを検証する一環として、追い越し時における追突事故の危険性を比較した。規制速度の引き上げ試行区間となった新東名高速道路において、計測機器を搭載した観測車を走らせ、それを追い越していく一般車の様子を観測するというスタイルの調査を行った。追い越しのために車線変更をするタイミングに着目し、その時の相対速度と車間距離から算出される追突事故のリスク指標を、規制速度の引き上げ前と後で比較した。その結果、リスク指標には速度差との関係がみられるものの、規制速度が異なる状況下においてこうした関係性そのものに変化は見られず、規制速度の引き上げが追突事故の危険性を増加させる結果とはならなかった。