2021 年 7 巻 2 号 p. A_110-A_118
交通状態予測手法の一つとして、深層学習が注目を浴びている。データに内在する関係を自動的に抽出できる深層学習は、多種の予測問題に対して高い性能を示しており、交通状態予測への有用性も確認されている。しかし、深層学習を用いた既往予測手法の大半は、複数の交通変数間の関係を考慮しておらず、また、地点単位の予測を検討している。しかし、予測結果の利用例として渋滞緩和に向けた交通制御を考えると、地点単位ではなく、制御実施の単位となる地域に関する交通状態予測結果の有用性が高い。そこで本研究は、深層学習モデルの一つであるLSTMを用い、地域単位に集計した複数の巨視的な交通状態指標の関係の表現を目指した短期的予測を検討し、都市内一般道の観測データへの適用を通してその性能を確認した。