脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
症例報告
急性期脳幹梗塞の診断における拡散強調画像矢状断像の有用性
林 成人武田 直也藤田 勝三森川 雅史
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 31 巻 1 号 p. 34-37

詳細
抄録

急性期の脳幹梗塞巣が拡散強調画像(DWI)により検出されにくい理由として,病巣の小ささや脳幹の虚血耐性の強さなどが挙げられる.我々はDWI矢状断像を追加することで診断が可能だった2症例を経験した.症例1は69歳男性で,頭痛,呂律障害,左顔面の痺れを主訴に来院した.発症6時間後のDWI水平断像で左延髄外側に虚血性変化を疑ったがT2強調画像(T2WI)水平断像では有意な所見を認めず,DWI矢状断像を追加し梗塞巣を確定しえた.症例2は65歳男性で,呂律障害,左片麻痺を主訴に来院した.発症日のDWI水平断像では虚血性変化を認めず,2日後のDWI水平断像で橋下部右内側に淡い高信号を疑うもT2WI水平断像では有意な所見を認めなかった.DWI矢状断像を追加し梗塞巣を確定した.急性期脳幹梗塞巣のDWIによる検出では,水平断像のみでなく矢状断像など複数の断面で評価することが,視認性を改善し診断に有用である.

著者関連情報
© 2009 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top