脳卒中
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症例報告
大動脈弁置換術15日目に発症した脳梗塞に対して rt-PA静注療法を行った1例
太田 浄文松本 卓田中 宏明黒木 秀仁田渕 典之
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2010 年 32 巻 4 号 p. 373-378

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抄録

大動脈弁置換術後の一過性心房細動の治療に難渋した76歳女性.手術15日目に突然の右片麻痺と失語が出現しNIHSSスコア16点であった.頭部単純CTではearly CT signはなく,頭部造影CT angiographyでは左中大脳動脈水平部での閉塞を認めた.発症から140分後に経静脈的rt-PA投与を行い奏効した.心臓弁膜症術後であったがrt-PA投与による創部からの出血は起きなかった.周術期,特に心臓外科手術後は脳梗塞発症のリスクが高い時期であるが,ほとんどは手術から14日以内で経静脈的rt-PA投与は適応外となっている.術後脳梗塞に対して経動脈的血栓溶解療法の報告は散見されるが経静脈的rt-PA投与の報告はほとんどなく本例はrt-PA静注療法の効果と安全性を探る上で貴重な症例であると思われる.

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© 2010 日本脳卒中学会
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