2013 年 35 巻 1 号 p. 36-41
要旨:症例は53歳男性.10年以上放置された高血圧あり.3カ月前からの頭痛,食欲不振,倦怠感を主訴に前医を受診.血圧230/170 mmHgと高く,入院後に軽度意識混濁と霧視を生じた.頭部MRIでは延髄・橋・中脳を含む脳幹,小脳,視床,基底核,両側大脳白質深部から皮質下にかけて広汎な浮腫性変化と,右橋背側に亜急性期の小出血を認めた.降圧療法後,右顔面の知覚低下は残存したが,その他の症状は消失し,MRI所見も改善した.高血圧性脳症は適切な治療を行えば予後良好な疾患である.高血圧性脳症による画像所見は後頭葉白質に多いとされるが,非典型的な画像所見を示す場合があることを理解しておく必要がある.