抄録
要旨:脳虚血後炎症には様々な自然免疫応答が関与する.近年,自然免疫による新規の炎症メカニズムが明らかとなり,これを標的とした神経保護療法の可能性が示唆されている.虚血に陥った脳組織ではダメージ関連分子パターン(DAMPs)が放出され,浸潤した炎症細胞の活性化に寄与する.脳内に浸潤したマクロファージはperoxiredoxin(Prx)によってToll様受容体(TLR2,TLR4)依存的に活性化され,IL-23などの炎症性サイトカインを産生する.IL-23はさらに遅れて浸潤するγδT細胞からIL-17産生を誘導し,亜急性期の炎症促進に重要な役割をもつ.抗IL-23抗体やFTY720(fingolimod)の投与は,T細胞による炎症を抑制して亜急性期における神経保護効果を示す可能性がある.以上のような一連の自然免疫の機能を制御することにより,脳梗塞に対する神経保護療法が開発できる可能性がある.