2013 年 35 巻 2 号 p. 71-78
要旨:【目的】被殻出血に対する外科治療の意義は未だ確立されていない.我々は当院での被殻出血の外科治療の成績をまとめ,過去の文献のサブ解析から得られた保存的治療の成績と比較検討を行った.【方法】2007年からの2年間において急性期治療を行った被殻出血連続156例を対象とした.手術適応は血腫量31 ml以上,血腫による圧迫所見があり中等度以上の神経学的所見がある場合とした.また過去の2文献からそれぞれ血腫量31 ml以上で保存的治療を行った症例を抽出した.【結果】外科治療群(51例)と2文献のサブ解析での保存的治療(それぞれ994例と149例)を比較すると,外科治療群では死亡率は有意に低く,ADL自立の頻度に有意差はなかった.しかしADL自立と要介助を合わせた頻度は,外科治療において有意に高かった.【結論】被殻出血に対する外科治療は,死亡率を下げ,要介助の状態以上のADLをもたらす可能性が示唆された.