脳卒中
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症例報告
頭部MRI で両側島皮質を主体に高信号域を呈した奇異性脳塞栓症の1 例
櫻井 岳郎脇田 賢治西田 浩
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2014 年 36 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

要旨:症例は62 歳女性.めまい,嘔気が急に出現し,頭部MRI の拡散強調画像,FLAIR 画像にて両側島皮質を主体に高信号域を認めた.血液検査ではD-dimer 高値を示し,髄液検査では明らかな異常は認めなかった.頭部・頸部MRA では狭窄病変はなく,脳血流シンチで同部の血流は低下していた.造影頭部MRI では,病変の一部に造影効果を認めた.経食道心臓超音波検査では卵円孔開存,右左シャントがあり,下肢静脈エコーでは両側ヒラメ静脈外側枝内に血栓を認めた.以上の検査所見から,下肢静脈血栓症による奇異性脳塞栓症と考えた.入院後,抗凝固療法を行い,症状,頭部MRI の拡散強調画像における高信号病変は消退した.頭部MRI でほぼ同時に両側の島皮質を主体として高信号域を呈する場合,稀ではあるが脳梗塞も鑑別疾患として考える必要がある.

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© 2014 日本脳卒中学会
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