2017 年 39 巻 1 号 p. 19-23
【目的】抗凝固療法中に発症した非弁膜症性心房細動(NVAF)に伴う心原性脳塞栓症(CE)について検討した.【方法】2007 年4 月から2015 年7 月までに入院したNVAF によるCE 760 例中,抗凝固療法がされていた186 例を検討.【結果】186 例中,ワルファリンが168 例,非ビタミンK 拮抗経口抗凝固薬が18 例であった.ワルファリン168 例中,130 例は,PT-INR が至適域以下であった.そのうちワルファリン用量調整中にCE を発症した患者は8 例で5 例は増減中,3 例は新規開始患者であった.新規3 例は,服用1 週間以内にCE を発症した.抗凝固薬休薬中にCE を発症した患者は12 例であり,6 例は患者の服薬アドヒアランス,2 例は医師の休薬指示が要因であった.他4 例は手術や入院に関連,2 例はヘパリン置換が行われていた.【結語】抗凝固薬の内服では,用量調整時のCE や患者の服薬アドヒアランスに注意が必要である.