脳卒中
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症例報告
多発性脳梗塞による重度の発動性低下に対して経頭蓋直流刺激を施行した1 例
佐藤 岳史浅井 麻未小室 太郎小林 映宮川 孝史木村 拓美麻生 俊彦美馬 達哉
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2017 年 39 巻 5 号 p. 391-395

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抄録

50 歳男性で,急性大動脈解離の術後,多発性脳梗塞が判明した.急性期リハビリテーションを開始したが,発動性の低下が著明であった.薬物療法にも抵抗性で,第100 病日から経頭蓋直流刺激療法を開始した.刺激は,右前頭部陽極,左前頭部陰極で行い,1 日1 回2 mA,20 分の刺激を計11 回施行した.なお,刺激中には主に上肢を用いた作業療法を施行した.治療開始前は,やる気スコアは評価不可能で,標準意欲評価法(CAS)で59 点であった.介入開始後1 日目くらいから自発語が出現し,リハビリテーション(以下,リハ)の意欲も出現した.治療終了時点では,やる気スコア23 点,CAS 40 点と改善した.治療前後で安静時機能的MRI を撮像したが,default mode networkに関しては右半球で結合性の健常化を認めた.脳梗塞後の発動性低下には薬物療法,リハが一般的に施行されるが,経頭蓋直流刺激も試す価値のある補助療法である可能性が示唆された.

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© 2017 日本脳卒中学会
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