脳卒中
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動脈硬化の危険因子としての血清リポプロテイン (a) -リポプロテイン (a) 表現型の日本人における分析と, 脳梗塞患者における特徴
辰巳 裕之村井 淳志宮原 忠夫藤本 直規松田 実
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1991 年 13 巻 2 号 p. 87-92

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抄録

リポプロテイン (a), 以下Lp (a) はLDL類似のリポ蛋白であり, 冠動脈疾患, 脳梗塞の危険因子である.Lp (a) の蛋白部分apo (a) は, SDS電気泳動にてF, B, S1-4, 検出不能の0の7つの表現型を示すので, apo (a) phenotypeの脳梗塞における意義について検討した.健常者198名のLp (a) 濃度の中央値は13.0mg/dl, 穿通枝型脳梗塞47名では12.6mg/dlであったが, 皮質枝型脳梗塞51名では16.8mg/dlであり有意に高値であった.phenotype別に平均値を比べたが, 3群の間で差がなかった.Lp (a) 濃度が低値を示すS3, S4, 0 typeは, 健常群では全体の59.0%を占めるが, 皮質枝群では47.0%と少ない.一方, 高値を示すS1, S2typeは, 健常群で20.8%であったが, 皮質枝群では31.4%と有意に多かった.穿通枝群と健常群の間にはこの差異がなかった.apo (a) phenotypeの同定は脳梗塞の危険因子のスクリーニングに有用と考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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