脳卒中
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運動失調を主徴とした左視床出血の1例
足立 智英小林 祥泰山下 一也岡田 和悟恒松 徳五郎
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1992 年 14 巻 5 号 p. 495-498

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抄録

視床出血は片麻痺, 意識障害, 知覚障害等の症状にて発症することが多い.いわゆる視床症候群では, その一症状として小脳性と考えられる運動失調を呈することが知られているが, 他の神経症状を伴っていることが多く, 運動失調のみを呈することは極めて稀であるとされている.
今回我々は, 運動失調を主徴とし, CT上左視床外側に限局した視床出血を認めた例を経験した.視床出血で, 運動失調を主徴とした症例は, 過去にも自験例を含めて4例の報告しかなく, いずれの例も視床外側部に一致した出血巣を認めている.
本例は, 運動失調を主徴とする場合に小脳のみならず視床出血の可能性を考える必要があることを示しており, 病巣の局在診断上注意を要する症例と考えられたので報告する.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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