脳卒中
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高血圧自然発症ラットを用いた遅発性神経細胞壊死に対するイオンチャンネルブロッカーの効果
飯田 恵片山 泰朗赫 彰郎
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1993 年 15 巻 3 号 p. 168-175

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抄録

高血圧自然発症ラット (SHR) を使用して虚血性神経細胞傷害に対するイオンチャンネルブロッカーの効果を検討した.脳虚血は両側総頸動脈閉塞と低血圧により作成した.虚血後経時的に海馬CA1領域の1mmあたりの正常な神経細胞数 (neuronal density : ND) を算定して, 神経細胞傷害を評価した.虚血後7日目にNDの有意な低下が認められたため, 薬剤効果の判定は虚血後7日目に行った.カルシウム拮抗薬 (NC-1100;3mg/kg), N-methyl-D-aspartate (NMDA) 拮抗薬 (MK-801;2mg/kg) を各々虚血前に静脈内に投与した.対照群には生理食塩水を投与した.NDはNC1100投与群では118.6±12.6/mm, MK-801投与群では120.7±12.8/mm, 対照群では73.3±16.5/mmであり, 両薬剤の神経細胞保護効果が認められた.SHRの海馬CA1領域の遅発性神経細胞壊死においてカルシウムチャンネルやNMDA受容体に関連したイオンチャンネルからのカルシウム流入が重要な要素であることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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