抄録
55歳男性, ocular bobbingを伴う橋出血の一例を報告した.血腫の範囲は剖検及びCT scanにて確認した.ocular bobbing発現時には, 脳波でα coma patternを呈し, skew deviation発現時にはspindle coma patternを呈した.caloric testには無反応でocular bobbingの増強は認められなかった.対光反射は, 全経過中保たれていた.本症例に認められた一連の現症の文献的考察に加え, ocular bobbingの出没と脳波変化の相関からcular bobbing発現責任部位が中脳である事が予測され, その発現機序を一元論的に説明した.
ocular bobbingは急性脳幹障害の診断に重要な神経学的徴候の1つである.しかし, その発現責任部位および機序に関しては定説がない.著者らは,急性橋出血例においてocular bobbingを観察し, その発現前後の脳波測定を中心とした神経学的検索を行ない.さらに剖検も得られたので, 責任部位に関して若干の考察を行ないたい.