脳卒中
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急性期および慢性期脳梗塞患者における活性化血小板の検出
清水 美衣山本 正博安藤 泰彦田畑 修篠原 幸人
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2002 年 24 巻 2 号 p. 234-239

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抄録
〔目的〕脳梗塞における血小板活性化状態の把握は,脳梗塞の発症および再発予防の面から重要であるが,簡便かつ定量的な測定法がなかった.我々は急性期(発症24時間以内治療前)および慢性期(発症1カ月以上)脳梗塞患者における血小板活性化状態を,最近実用化された活性化血小板特異的モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリー法にて検討した.〔方法〕対象は,心原性脳塞栓症を除く急性期脳梗塞患者26例,慢性期脳梗塞患者59例.対照として頭部MRIに虚血性変化をみない,年齢をマッチさせた26例を用いた.活性化血小板特異的モノクローナル抗体としては,抗CD62P抗体とPAC-1を用いた.〔結果および結論〕活性化血小板マーカー,P-セレクチン(CD62P)陽性率は対照群0,9±2.3%に対し,急性期群7.1±3.1%(p<0.001),慢性期群3.8±2.9%(p<0.001)であった.PAC-1陽性率は,対照群では17.9±10.6%に対し,急性期群71.6±19.0%(p<0.001),慢性期群61.2±26.0%(p<0.001)と対照群と比べ,両マーカーとも有意に増加していた.また,急性期群と慢性期群の問にはCD62P陽性率(p<0.05)に有意な差があった.さらに,病型別検討では,急性期群では差がみられなかったが,慢性期群でラクナ群よりアテローム血栓性脳梗塞群が,CD62P(p<0.01),PAC-1陽性率(p<0.01)ともに有意に高値であり,これらの脳梗塞群における血小板活性化機構に相違があることが考えられた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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