合併症に罹患することなく急性期に重篤となり死亡した内頚動脈系脳梗塞症例について検討を行ない, いかなる脳梗塞症例が死に至るのかを検討した.対象症例は11例で経過中にCT上high density areaを呈した症例を出血性梗塞と定義すると, 貧血性梗塞が8例, 出血性梗塞が3例であった.貧血性梗塞では, 発症早期より重篤な意識障害や運動麻痺を呈し, 脳血管写上頚部ないし頭蓋内内頚動脈閉塞を認めた.また, CT上で前大脳動脈および中大脳動脈あるいは中大脳動脈および後大脳動脈と少なくとも2本以上の主幹動脈領域に, low density areaを認め, 早期に10mm以上の高度なmidline shiftを呈した.また, 発症から死亡までの期間は平均4.9日であった.一方, 出血性梗塞は, 入院時の臨床症状は貧血性梗塞のそれに比べ比較的軽度であったが, 経過中急激に増悪する傾向を認めた.CT上の病変の広がりは, 2例で中大脳動脈に限局されており, 必ずしも2本以上の主幹動脈領域に亘るものではなかった.出血性梗塞の出現によりdiffuseないしmassiveなhigh density areaの出現が認められた.発症から死亡までの期間は平均9.6日であった.