脳卒中
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高血圧性基底核部出血急性期の病態や予後判定におけるMultimodality evoked potentials (MEPs) の意義
重森 稔弓削 龍雄川崎 建作渡辺 光夫倉本 進賢
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1985 年 7 巻 2 号 p. 158-166

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抄録

高血圧性基底核部出血の27症例において, 聴性脳幹反応 (ABR), 体知覚性誘発電位 (SEP), 視覚誘発電位 (VEP) を組み合わせたmultimodality evoked potentials (MEPs) による経時的観察を行い, 本症急性期の病態や予後判定における有用性を検討した.いずれもMEPsのうちSEPに最も高度の異常がみられたが, 転帰良好例ではABRの異常はなく, 転帰不良例ではSEPのほかVEP, ABRにも種々の程度の異常がみられた.また, 前者ではMEPsの異常が発症7日以内に改善を示すのに対し, 後者では改善が遷延ないし不変である傾向がみられた.重症例では20mmHg以上の頭蓋内圧上昇がみられ, その際, ABRの悪化が認められた.今回の検討結果, 軽症例では内包後脚の障害や2次的脳機能障害も軽度であるのに対し, 重症例では内包障害のみならず脳幹部を含め, 半球性の脳機能障害を伴うと考えられた.また, 本症の機能的および生命予後を正確に判定するためには, 発症後7-14日間の経時的なMEPsの観察が必要と考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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