脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
実験的クモ膜下出血犬における血液凝固系の変動
三塚 繁貫井 英明佐々木 秀夫豊田 収堀越 悟
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 7 巻 2 号 p. 150-157

詳細
抄録

クモ膜下出血 (SAH) 後に生ずる脳血管攣縮における虚血症状の出現には血液凝固線溶動態の変化が重要な役割を果たしていると考えられるため, 雑種成犬38頭を用いて自家動脈血大槽内注入法により実験的クモ膜下出血犬を作製しSAH作製前及び作製後8日間に1-3日の間隔で採血し, RBC, Hb, Ht, 赤血球変形能, PT, APTT, 活性化全血凝固時間, フィブリノーゲン, 血小板凝集能を測定検討した.また椎骨動脈撮影によりSAH後4日目をピークとする脳血管攣縮の出現を確認した.その結果フィブリノーゲンはSAH後1-4日目で有意の上昇を示し, 血小板凝集能は測定期間中上昇を続けたが, 他の血管内因子は特徴的な変化を示さず, SAH後には血液凝固能充進の準備状態が誘発されていることが明かとなった.また本実験によりこれら血管内因子の雑種成犬における標準値が得られ, 今後の同様な実験に有用と考えられた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top