ウイルス
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総説
Dominant-negative EBNA1によるEBウイルス腫瘍の抑制
今井 章介黒田 正幸山下 竜右石浦 嘉人
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2005 年 55 巻 2 号 p. 239-249

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抄録
 Epstein-Barr virus(EBV)nuclear antigen 1(EBNA1)はEBV感染増殖細胞で普遍的に発現され,環状EBVゲノム(episome)が感染細胞内で複製・維持されるために必須な唯一のウイルス蛋白である.したがってEBNA1は,格好のEBV陽性腫瘍の治療標的分子になりうると考えられる.我々は,野生型(wild-type, wt)EBNA1のN末側ドメインの大半を欠失するEBNA1変異体を独自に作製,これがwtEBNA1の機能を阻害することで,latency type,cell typeを問わず高率に感染細胞からEBV episome脱落を促進するdominant-negative(dn)EBNA1であることを明らかにした.さらにこのdnEBNA1はウイルスepisomeの追い出しに伴い,EBV陽性バーキットリンパ腫細胞の悪性増殖形質の抑制にも機能することがin vitro,in vivoで確認された.この結果は,dnEBNA1が様々なEBV腫瘍に対し汎用性を有する理想的な新規の特異的遺伝子治療用分子となりうることを示している.ウイルスのゲノム自体を細胞から駆逐するという治療理念は,EBVと同様episomeとして細胞に持続感染する他のウイルスによる難治性疾患にも応用できる可能性がある.また,このdnEBNA1の活用により,従来否定的な意見が多かったEBNA1の直接的な細胞増殖亢進への関与が明らかにできるものと期待される.
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© 2005 日本ウイルス学会
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