ウイルス
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トピックス
日本脳炎ワクチン問題
その背景
岡部 信彦
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2005 年 55 巻 2 号 p. 303-306

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抄録
 我が国における日本脳炎は1950年には年間5000名以上の患者が報告されていたが,1992年以来年間10人以下の発生となり現在に至っている.しかし,ブタの血清抗体調査では,依然我が国には日本脳炎ウイルスは常在していることがわかる.我が国に於いて日本脳炎ワクチンは第一種定期接種として行われていたが,平成17(2005)年5月,日本脳炎ワクチン接種後に発したADEM例について厚生労働大臣が健康被害認定を行ったことをきっかけとし,厚生労働省は「厳格な科学的証明はない」としながらも,マウス脳由来ワクチンからよりリスクの低いワクチンに切り替えられるまで,日本脳炎ワクチンの積極的勧奨を差し控える」とした.近年日本脳炎ワクチン接種後に生じたADEM例の被害救済請求例がやや増加したこともその背景にある.また平成17(2005)年7月,現状の日本脳炎の疫学状況,日本脳炎ワクチンの接種状況等から,日本脳炎ワクチンの定期接種を再開した場合には基礎免疫および2期追加接種の必要性はあるが,3期の中止は可能であるとの判断を厚生労働省は行った.本文ではこれら日本脳炎ワクチンの最近の動きの背景について述べる.
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© 2005 日本ウイルス学会
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