日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
塩野谷分類でBuerger病と診断した下腿動脈線維筋性異形成の 1 例
猪狩 公宏井上 芳徳中村 浩志広川 雅之菅野 範英岩井 武尚
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 16 巻 3 号 p. 563-566

詳細
抄録
線維筋性異形成(fibromuscular dysplasia; FMD)は腎動脈や頸動脈に好発する原因不明の動脈疾患で,内腔狭窄や動脈瘤を生じる.症例は55歳,男性.15歳より20本 / 日の喫煙歴を有し,手指,足趾の潰瘍,冷感を自覚した.経動脈的血管撮影にて両側後脛骨動脈・橈骨動脈の途絶像を認めたことからBuerger病と診断し,左胸部交感神経焼灼術,右腰部交感神経切除術を施行し,また右後脛骨動脈を生検した.病理では器質化した血栓や血栓性静脈炎の所見は得られず,中膜,外膜の肥厚を認めたことからFMDと診断した.塩野谷の診断基準でBuerger病と診断したが,病理所見にて末梢血管発生のFMDと診断した.本症例は病理学的にも確認された,まれな末梢血管発生のFMDである.術前にBuerger病と診断したことから考え,以前Buerger病と診断していたものの中にもFMDが混在している可能性がある.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top