2007 年 16 巻 3 号 p. 571-574
比較的稀な限局的動脈狭窄性疾患のひとつである膝窩動脈外膜嚢腫の 1 例を経験した.症例は63歳女性で右下肢の間歇性跛行にて発症した.右側ABIは0.93と軽度低下を認めた.下肢造影CTにて右膝窩動脈に高度狭窄と血管内腔に突出する嚢胞状病変の所見を認めた.下肢MRI長軸像では右膝窩動脈周囲に縦長の嚢胞様腫瘤を認め,膝窩動脈を狭窄させていた.同腫瘤はT1強調像で低信号,T2強調像で高信号に描出されていた.短軸像では,花弁状に嚢胞状病変が膝窩動脈を取り囲んでいた.以上より外膜嚢腫と診断した.術前に血管エコーで嚢腫直上にマーキングを施した後,小切開にて外膜切開術を行った.膝窩部の可動域制限を心配することなく良好な経過を得た.本疾患の病態の理解が進み画像診断が向上したことにより,今後さらに低侵襲手術の対象となると考えられる.