2008 年 17 巻 4 号 p. 521-524
症例は87歳,女性,右膝窩動脈瘤に対し瘤空置 + 浅大腿動脈-膝下膝窩動脈バイパスが施行されていた.術後 8 年を経過し,右大腿~膝窩部に拍動性腫瘤の増大,疼痛,膝関節の機能障害を認め,当科紹介となった.CTにてグラフトの中枢側吻合部に30mmの動脈瘤と,70mm大に拡大した血栓化空置膝窩動脈瘤を認めた.手術は前回手術創を延長した内側経路でアプローチし,巨大化した空置瘤を切開,内腔から1250gの多量の陳旧性血栓を摘出し,流入動脈を内腔より閉鎖した後,大伏在静脈を用いてバイパス術を行った.術後グラフトの良好な開存が確認され,第16病日に軽快退院した.空置された膝窩動脈瘤の著明な拡大を示した稀な症例を経験したので,若干の考察とともに報告する.