2011 年 20 巻 1 号 p. 23-27
症例は72歳,男性.突然,左下肢の安静時痛を主訴として当院を受診した.3DCTから血栓性閉塞した左膝窩動脈瘤(径3.0 cm)と壁在血栓を有する右膝窩動脈瘤(径2.5 cm)を認めた.軽度の感覚障害のみで足関節の背屈障害がなかったため準緊急手術とした.下腿動脈の血栓を除去できず,左総大腿動脈よりカテーテルを留置し血栓溶解療法を1週間施行した.その後,左前脛骨動脈に血流が得られ左膝窩動脈瘤空置,左浅大腿動脈-足背動脈バイパス術を施行した.さらに待機的に右膝窩動脈瘤切除,右浅大腿動脈-前脛骨動脈バイパス術を施行した.膝窩動脈瘤に下腿の動脈閉塞を合併した場合には急性下肢虚血の臨床的分類I,IIaでは血栓溶解療法後に手術を施行することも考慮されよう.