抄録
【目的】近年,脈管診療におけるVascular Labの重要性が確固たるものとなっているが,当院における現状から,Vascular Lab確立に必要とされる条件を提示する.【方法】旭川医科大学病院臨床検査・輸血部においては血行再建術前・術後に年間2793件の脈管検査を行っている.内訳は術前に施行する血圧脈波検査,経胸壁心エコー,頸動脈エコー,静脈グラフト評価,術後定期的に施行するduplex scanによるgraft surveillanceである.【結果】2009年のグラフト狭窄あるいは閉塞に対して行った修復術計41例中,graft surveillanceを施行していた24例ではグラフト閉塞は1例のみ(4.2%)であるが,未施行であった17例では5例(29.4%)に発生し有意に閉塞率が高かった(p<0.05).検査技師は,画像情報統合システムによる他の画像所見の参照や,診療医とともに血流外来で検査に関わることに意義を見出している.【結論】Vascular Labは各施設の需要に応じて多様性を有するものの,高い検査技術は必須条件であると考える.さらには,医師とのディスカッション,総合的な病態把握能力,迅速性が望まれる.